白瀬ヴァイオリン教室  

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ペグの調弦を練習しよう

アジャスターの調弦がある程度できるようになったら…つまり、音程がだいたい合っているのが分かるようになったら、ペグで調弦ができるようになります。あ、まだ、アジャスターを外さないでくださいね。自信を持ってできるまで、アジャスターは保険として付けておいてください。それに・・・子供は無理しないでください。

小さな楽器のペグ調弦は、慣れている大人でも、すごく難しいです。少し動かしただけで、音程が大きく変わりますし、小さい楽器ほど弦同士の張力が密接で、あっちを合わせるとこっちが合わず…、その上、ペグがプラスチックでできている量産品の楽器は、ペグを留めること自体が、かなり大変です。4分の3以上になってから、ペグの調弦を練習し始めましょう。それまではアジャスターの調弦で、耳を鍛えてください。
 

では、ペグの調弦チャレンジ!

1.座ってペグを回す練習をする

音を出しながら、ペグをキュキュッと回して調弦できたら、カッコイイのは分かりますが、いきなりすると、弦を切る危険が・・・。弦を切らなくても、自分では、音程を直せないほど狂ってしまいます。
その前段階、膝の上に楽器を置いて、ペグを回し、どれだけ動かしたら、どれだけ音程が変わるか、確認作業をしましょう。これは、ペグ調弦の第一歩でもありますが、ペグがクルッと回って弦がユルユルになってしまったときや、弦を張り替えるときにも、この方法を使うので、楽器の持ち方や回し方を学習しましょう。

椅子に腰掛けて、膝の上に楽器を置いて、ペグを手前に少し回して、半音下げて、元に戻します。半音がどのくらいの角度かを確認してください。考えているよりも、驚くほど少ない角度で半音下がると思います。半音の音程が分からなくなるときは、ピアノやキーボード、チューナーなどで確認してください。たとえばD線では、「レ、♭レ、レ」とピアノで弾いてみてから、その音程を覚えておいて、ペグを下げます。これは、声に出して歌ってもいいですね。

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写真は、Dのペグ(上)を動かしています。右と左では見た目にほとんど違いがありませんが、これで半音(レ、♭レ)違います。

D線G線のペグは左手で持って動かし、右親指で弦をはじきながら、音程を確認します。A線E線のペグは、その反対、右手でペグを持って動かし、左親指で弦をはじきます。親指で弦をはじくと、他の指で楽器を固定できます。

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2.ペグは、必要以上に押し込まない

ペグを引っ張り出して緩めたり、押し込めて留めると思っている方が多いですが、それは誤解です。
ペグはワインのコルク栓のような形になっています。コルク栓と同様、動かし始めたら、外に出ようとするので、それを元の位置に戻しながら回す、という感覚が一番正しいと思います。膝の上は安定感があるので、ペグを持ったら、自然に押し込む力が入ります。ペグを無理に引っ張り出したり押し込めたりしないで、楽器に平行に動かすようにします。

 

たとえば・・・ボールを床に置いたときのことを考えてください。
何もしなければ動きません。少し送り出せば、平らな面でも転がっていきますが、また止まります。どうしてボールは止まるのでしょう。そう、床面との摩擦で、ボールが止まっているのですね。

自転車でも同じことが言えます。
止まっている自転車のペダルをこげば、動き出しますが、ペダルをこぐのを止めれば止まります。これも、地面との摩擦で止まっているのです。弦を張ってあるペグは、楽器との摩擦で、今は止まっているのです。前後に動かせば動きますが、動きを止めれば、そこに留まります。

膝の上に楽器を置き、ペグを動かしてみて、簡単に動き止まるとしたら、ペグの位置がとてもいい場所(押し込め方)にある、ということです。
もし、すごく固い、あるいはユルユルな状態だったら、それは押し込みすぎているか、引き抜きすぎているのかもしれません。あるいは、ペグ自体の状態が良くないかもしれません。次の方法を試してください。

 

ペグを抜き、コンポジションをペグと楽器の接点に塗る

composiコンポジションはペグ用の潤滑剤です。楽器屋さんで売っています。1つあれば何年(何十年?)も持つので、買っておくといいですよ。

 楽器は、木でできています。湿度が高ければ、木は湿気を含み膨らむので、ペグが動きにくくなります。乾燥すれば、木がやせて、ペグがクルッと回り留まりにくいこともあります。その双方に対応するために、コンポジションはあります。多すぎるということはないので、十分にペグに塗ってから戻し、もし余って、周りから出てくるようだったら、拭き取ってください。これで、かなり状態は良くなるはずです。

 

  上駒と駒の弦の通り道に、2B以上の鉛筆でこする

これは、弦を外したついでにすることですが、柔らかい鉛筆でこする(塗る)と、弦のすべりが良くなります。コンポジションが一般的でなかった昔は、鉛筆でペグをこすって、潤滑剤の代わりにしていました。

 

  巻いてある弦の位置を調節する

弦が中央に近いとペグは止まりにくく、弦が縁に近いとペグは固く止まります。つまり、ペグが止まりにくかったら、弦を縁に近く、反対にペグが固すぎたら、弦を中央に近く持っていくと、調子が良くなります。
ただし、弦がどこまでもまっすぐに張るのが理想であって、応急処置として、です。

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これでも、ペグが留まりにくいときは、楽器の方を見てください。ペグの穴のところにヒビが入っていませんか?これは、楽器屋さんに直行です。

 

3.膝の上のはじき調弦で、音程を合わせる

膝の上でペグを回し、反対の親指ではじきながら、音程をほぼ正しく合わせてください。まさしく膝の上、椅子に座っていても膝の上、立っていても少し腰を落として、膝の上に置いて、はじきながら調弦します。

実は、ここがとても大切!プロのヴァイオリニストでも、膝の上で弦を張替え、ほぼ音程を合わせるのです。ここで音程を合わせておかないと、次の段階が難しくなってしまい、調弦をするのがイヤになります。

4.DとGを、合わせてみよう

A線のペグは、右側にあるのでやや難しいため、ここではアジャスターで調弦しておきます。左側にあるD線とG線をペグで合わせてみましょう。

始める前に再確認!ペグは音程を半音下げてから、上げる、つまり手前に倒してから、元に戻すことを忘れないでください。音程が分からなくなったら、また下げて戻す、これを繰り返してください。今は、音程がだいたい合っているのですから、ここですることは、ペグを手前に倒し、また元に戻す…つまり「ペグを動かす練習」です。

では、ペグをもって動かしてみましょう。親指と人差し指(中指)でペグを持ち、他の指は渦巻きのところに引っ掛けます。いったん下げて戻すことができて、ペグが留まるようだったら、全く問題ありません。どんどんペグでの調弦の腕を上げていってください。

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写真左は、親指人差し指でDのペグを持ち、渦巻きに中指薬指を引っ掛けています。写真右は、3本指でGのペグを持ち、他の指をペグの間に差し込んでいます。どちらもペグを持たない指は、楽器に引っ掛けていることが大事です。

でも、最初からそんなに上手くいくことは、まず無いです。たいていはペグが留まりません。動かす加減も分からなくなることがあります。さてさて、上手くいかなかったあなた・・・まず「3.膝の上のはじき調弦で、音程を合わせる」に戻って、全体の音程を合わせてから、次の方法を試してみてください。

5.指同士をくっつけて、手首を動かす

なぜペグが留まらないか、というと、ペグは表に飛び出ようとするからです。
ペグは先端部分に向けて、だんだん細くなっています。楽器の方も、ペグの形状に合わせて、穴の形が作られています。ペグを動かすと、自然にペグは表に出てくるのです。ワインのコルク栓が、緩めると自然に外に出てくるのと同じです。外に飛び出ようとする力に見合うように、中に押していく力も必要なのです。膝の上でうまくできたのは、ペグを自分でも感じないくらい自然に押し戻しながら、動かしたからです。ところが、楽器を構えると、楽器に安定感がないので、力が入りにくいのですね。

 

  1.中指、薬指、小指はどこにありますか?

「ペグを回してください」と言うと、親指と人差し指だけで押し込もうとする人がいます(写真左)。これではまさに「ノレンに腕押し」・・・楽器がノレンで、ペグが腕、という状態で、ペグは留まりません。中指、薬指、小指など、ペグを持つ以外の指を、楽器にしっかり引っ掛けてください(写真右)。

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2.指同士をくっつけようとしていますか?

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一度楽器を下ろして、親指以外の4本指をギュッとくっつけて、さらに親指で押してみてください。かなり力が入りますよね。ペグを回すときも、実際には指は離れていますが、指をくっつけるイメージでペグを持ってみてください。力を入れるというよりも、くっつける感覚が近いと思います。

 

  3.手首を動かしていますか?

「指が痛いですぅ〜」という方の手を見てみたら、親指人差し指で、ペグを動かそうとしていました。でも、これは間違い。ペグは持っているだけで、動かすのは手首です。しっかり指を引っ掛けたら、手の形を変えないで、手首を動かしてみましょう。

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  4.楽器をあごと肩でしっかり挟んでいますか?

D、Gの調弦のときに、楽器が胸に落ちる人がいます。手を伸ばし、左側面から力を入れようとしているのですが、これでは楽器の安定感がないので、力が入りません(写真左・・・少し見にくいですが、手が左に出てしまっています)。調弦のとき、左手が楽器の下にありますか?もし、楽器の左側に左手が出ていたら、楽器は胸に落ちていると思いますよ。

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  5.ペグの傾きが、横になっていませんか?

慣れてくれば、ペグの傾きがどうなっていても回すことができますが、始めは、ペグが楽器に対して横に向いていると、とても回しにくいです。もし、ペグが持ちにくかったら、弦をずらして、持ちやすい位置にしましょう。ほんの少し(数ミリ)、弦を通す穴から弦を引き出すか、押し入れてください。これでペグの傾きが変わるので、ペグが持ちやすく動かしやすくなります。写真左のDのペグを、写真右のように縦方向にしてください。このくらい縦になると扱いやすくなりますが、斜めでも十分です。真横が一番動かしにくいのです。

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6.ペグが留められないときの策

「いろいろやってみたけど、どうしても無理なんですゥ〜」と泣かないでください。ペグの調弦は練習が必要なんです。なぜなら、「指同士をくっつける」のも、力が入らない人には筋力トレーニングが必要、「指の引っ掛け方」も調弦のたびに向きが変わるので、学習が必要なわけで…。でも、ペグを留める裏技(というほどではありませんが…)はあります。

 

  1.滑らないところに渦巻きを当てる

もし、ペグがクルッと大きく戻ってしまったら、自分の膝頭やクッションなどの、滑らなくて楽器に負担にならないところに、渦巻きのところを押し当てて、いったんペグを押し込みながら、音程を上げていきます。自分の体で力加減が分かる膝頭の方がいいかもしれませんね。この形ですぐに止まれば良いのですが、難しいときは無理をせず、「3.膝の上のはじき調弦で、音程を合わせる」に戻ってください。これで楽器を壊した、という話は聞いたことはありませんが、楽器に負担がかかるのは確かですから、決して無理をしないでください。写真の写りが悪くてすみません。左の写真は左膝の外側に渦巻きを押し当てています。

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2.指の引っ掛け方を工夫する

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私自身は、この方法は全く思いつかなかったのですが、ある生徒の調弦を見ていてビックリ、そういう方法もあったのかと、思わず写真に撮ってしまいました。分かるでしょうか。渦巻きに指をかけているのではなく、箱の縁に中指を引っ掛けて押し込んでいるのです。これが最良とは思いませんが、そのときに使える指は全部使ってみたら良いのです。ご自分のやりやすい方法を模索してください。

7.Aを、ペグで調弦する

さて、いよいよAもペグで調弦してみましょう。でも、D、Gがある程度できるようになってから、挑戦した方が良いと思います。Aは右側にペグが付いているので、右側を左手で動かすのは少し難しいからです。

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写真左は親指と人差し指の側面でペグを持ち、中指を反対側にクルッと持っていって引っ掛けています。楽器を持たないと写真中のような形ですね。右の写真のように、親指と中指側面のペアの方が使いやすい角度もあります。いろいろと工夫してみてくださいね。大事なことは、反対側に必ず壁を作ることです。

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ペグの調弦は、とても難しいです。何ヶ月も1年以上も練習している人もいます。動かすことができるようになってからも、これが本当に合っている音なのか、と、調弦自体に自信が持てない人もいます。

ペグで、かなりしっかり調弦ができるようになるまで、アジャスターは付けておいてください。その方が気が楽です。ペグである程度調弦して、細かい部分はアジャスターで調弦する、という段階を踏んでから、アジャスターを外すと良いでしょう。本当のことを言えば、ペグの方が音程が分かりやすく調弦しやすいのです。駒に弦が乗っているせいか(アジャスターよりペグの方が、弦の可動域が長い)、ペグの方が、調弦する動きと音程の動きが連動しているような気がします。音程が大きく動く方が、合う合わないが分かりやすいという利点もあります。でも、音程が大きく動く分、操作が難しいので、確実に音程が合わせられる段階に行くまでは、今までの方法を「保険」にしておくと良いでしょう。

ペグの調弦で気をつけること

それは駒!ペグを動かすと、弦に引っ張られて駒が動きます。駒の頂点がペグの方に引っ張られるのです。すると、駒が傾いてきます。このまま放置すると、駒が曲がりますし、音も出にくくなりますし、曲がった駒は取り替えなくちゃならなくなりますし、最悪バタッと倒れます。倒れた駒で、楽器が割れることもあります(泣)。いつも駒が垂直に立っているかどうか、チェックしてください。傾いたりずれたりしたら、元に戻してください。弦を緩めなくても、動かせますが、怖くてできないときは、楽器屋さんに持っていて「駒を直してください」というと、瞬時に直してくれます(たぶんタダ)。先生に教わっている人は、「駒が倒れてきて・・・」と先生に頼めば、すぐに直してくれます(こちらもタダ)。直し方をよ〜く見て、次はご自分で挑戦してみてください。

調弦も慣れです。たくさん練習してくださいね。

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